太陽光発電とメンテナンス(1)

「太陽光発電はメンテナンスフリーなんですか?」
お客様からよくいただく質問です。

私は次のように答えるようにしています。
「何か操作をしたり、フィルターの掃除をするといった日常の作業は全く必要ありません。そういう意味では日常のメンテナンスは不要(フリー)です。ただ、太陽光発電といえども人間の作った機械です。全く壊れないわけではありません。」

こういうとお客様は「えっ?太陽光発電も壊れるんですか?」とびっくりされます。

それでこちらのほうがびっくりしてしまいます(笑)
なぜか太陽光発電の業界には「メンテナンスフリー」という言葉を「故障しない」というように拡大解釈して営業している業者があるようです。

太陽光発電の故障やメンテナンス方法について詳しく研究している研究者がいます。
つくば市にある産業技術研究所(略称「産総研」)の研究者で加藤和彦さんという方です。
(今年の9月16日には静岡県の主催でツインメッセにて加藤氏の講演がありましたのでご存知の方も多いと思います)

「太陽光発電システム不具合事例ファイル」(加藤和彦著 日刊工業新聞社刊)

この方が中心的メンバーとなって活動している「PVーRessQ」というグループがあります。
このグループは不具合の発生した太陽光発電システムを屋根に上って調査するグループで、先日つくば市にてこのグループの集まりがあり、加藤氏と懇談する機会がありました。(ちなみに私はPV-RessQの正式メンバーではありません)

そこで加藤氏は次のように強調していました。
「きちんとした施工ももちろん大切だが、長期にわたる継続的なメンテナンス(計測)が絶対必要です。なぜなら太陽光発電システムは故障率が高いこともそうだが、何よりも故障の発見が難しいからです。」

加藤氏らの研究によると過去12年間に約3割のシステムで故障が発見されているというのです。

こんなお話をすると「そんなに故障する可能性があるなら設置するのをやめておこう」と考える方もあるかもしれませんね。

もちろん私は、単に太陽光発電のリスクを煽って普及に水を差そうなどと思っているわけではありません。太陽光発電はそれ自体何の燃料も必要なく長期にわたってエネルギーを生み出し続ける稀有な存在であることは間違いありません。それは素晴らしいことです。

ただ、自動車でも電化製品でも(結果として「原発」も、でしたが)あらゆる人間の作ったものは不完全なものです。「100%完全に作動し続ける」と考える方が不自然です。

重要なことは、起こりうるリスクをきちんと知ったうえで、あらかじめその備えをしておけば問題はないのです。(本来あるリスクを過小評価することの怖さは「福島」で思い知りました)

太陽光発電システムは、これまでは、導入したあとのリスクについてはメーカーも販売業者も口をつぐみ、とにかく「普及」を推し進めてきた歴史があります。

私は皆様にはぜひ賢いユーザーになっていただきたいと願っています。
そのためにこのコラムでは太陽光発電にもリスクがあることをきちんとお伝えし、その対処の仕方についてもお伝えしていきたいと考えています。